イメージ

労働契約


 労働契約とは、使用者と労働者の間で締結される労働力の提供と賃金の支払いを主な内容とする契約です。労使のトラブルは、この労働契約の内容をどちらか一方が守らなかったことによるものが多いので、始めに労働契約について解説します。
 労働契約も契約の一種類です。民法上、契約は当事者間で自由にできることが原則(契約自由の原則)ですが、労働契約については、多くの法規制によって契約自由の原則が制限されています。
  それは、経済的に優位に立つ使用者と経済的に弱者である労働者との契約は実質的に不平等になるので、弱者である労働者を保護するために特別の法規制を設けてあるのです。
  特別な法規制とは、具体的には労働基準法や最低賃金法などです。これらの法規制には罰則の規程があります。最低の基準を定め、これを守らない使用者を刑罰をもって処分する目的のもので、契約自由の原則を大きく制限しています。
 規制は一般法である民法よりも特別法が優先されて適用されますが、特別法によって規制されないものは民法の原則が適用されます。
 例えば、使用者から労働契約の解約をする場合(労働者を解雇する場合)には、労働基準法によって30日前に予告をするか30日分以上の解雇予告手当を支払わなくてはなりませんが、労働者から労働契約を解約する場合(労働者が自己退職する場合)には、労働基準法にこの場合の規制がないので、労働者は民法の原則により14日前に労働契約の解約の申し出をしなければならないことになります。ただし、就業規則に、「退職する場合には1月前に申し出をするよう」規定があればそれに従うことになります。
 また、労働契約によって決めた内容が、最低の基準を定めた法規制を下回るものであれば、その契約は無効となって、最低基準が適用されます。
 労使納得の上で決めた賃金でも、その額が最低賃金法で定める額を下回っていれば、労使間で定めた賃金額は無効となり最低賃金法で定める賃金額が適用されることになるのです。

 また、適法でない目的のために作られた会社と労働者との間で締結された契約も無効になります。
 例えば、詐欺を目的として作られた会社に雇われても、労働契約の目的が反社会的なものなので、その労働契約も無効になります。
 労働契約は労働者と使用者との合意によって成立するものですが、必ずしも契約書を交わす必要はありません。口頭による契約でも成立します。
 ただ、労働契約を締結する時には、使用者には契約内容の内、賃金・労働時間などに関する事項について書面で労働条件を明示しなけれならないと労働基準法に規制されているほか、労働条件を明示した以外にも、就業規則によって定めた会社のさまざまな規則を周知することが義務付けられています。
 労働契約は個々の契約ですが、団体的な約束である労働協約や会社の規則である就業規則は労働契約より優先される効力があります。 

 企業の再構築(リストラ)の為になどで労働契約の内容を変更する場合(例えば研究開発員として契約を結びながら開発部門閉鎖に伴って営業にまわしたり、賃金を減額したりする場合)には、契約の当事者の同意が必要となりますが、労働問題の多くはこのように契約の内容を変更する場合に発生するようです。個々の問題や労働協約・就業規則などについては、別途解説していきます。
 このように、労働問題の解決には、「はじめの約束がどうだったのか」と言うことから問題を解決することになる場合が多く、逆に言えば、労働契約を結ぶ場合には、契約の内容をできる限り確認することが大切です。面接時には、使用者は求職希望者の適性・性格・やる気などを見ようとしますが、求職希望者はその会社の労働条件の確認をして下さい。この時、明確な回答ができないような会社はけっして優良な企業とは言えないと思います。使用者にも求職希望者にも、契約内容の確認する姿勢が必要だと考えます。

小辞典へ