ヒーローマスクのゴーグルを作る(暫定版)


 これは、現在企画中のヒーローもののFRPマスクの製作中写真です。
 (このマスクを作るにあたっては、いろいろと紆余曲折や苦労話がありまして、それはまたいつかこのサイトで書きたいと思っています。なお、このマスクの原型は私ではなく、知人のMH氏によるものです)

 さて、このマスクのデザインを見たときに頭を抱えたのが前面部のゴーグル部分の処理でした。
 マスクののぞき穴というやつは、けっこう重要な話しでありまして…まぁ、物によっては、ほとんど前が見えないような状態でアクションとかをやったりもするそうなのですが、(ホントかウソか、宇宙刑事ギャバンの電飾入りアップ用マスクはのぞき穴がほとんど無かったという話しを耳にしたこともあります。…まぁ、さすがにそれはデマだろうとは思うのですが…)  やっぱり、視認性が良好な方がいいのは当然でありましょう。
 それに、このマスクのデザインでは、額の部分に電飾も入れたいという話しもありました。そんなこんなで、かなり大きな部分を半透明のスモーク処理しなければならないということになったのであります。

 ヒートプレス、バキュームフォームという方法があることは知っていました。(ゼネプロのバキュームキットに泣かされた経験もありましたし…) そこで素人の浅はかさというか、「スモークプラ板をヒートプレスすればできるかも」と思い至ったのであります。

 まずは、バキュームフォーマーを自作するところから始めました。模型用のバキュームフォーマーは市販されているものがありまして、当初はそれを購入することも考えたました。ところが、今回対象としているのがマスクの前面部でかなり大きい。市販品ではちょっと寸法が足りないということで、結局自作することになった次第です。

 (本来ならばここでバキュームフォームの原理とかについて説明すべきところですが、ちょっとまだ資料が調っておりませんので、後日ということでご容赦下さい。googleあたりで検索すれば、バキュームフォーマーを自作された方の記事などがいろいろ出てきますので、ご参照下さい)

 というわけで、まずは上の写真のように、400 mm×400 mmぐらいの大きさのベニヤ板を用いて必要な大きさの木枠等を作りました。本来でしたら、原型を置く部分は穴あきの鉄板などを使うのですが、近所のホームセンターになかったので、魚焼き用の網を使用しました。(剛性が低くて今ひとつでした。やっぱり、穴あき鉄板などを使った方が良かったと思います)

 原型は、FRPで作りました。FRPマスクを作るのと同じ要領で石膏の雌型からゴーグルの部分だけを抜き、表面処理したものに、適当にゲタをはかせています。
 私は特に何も考えず1000番ぐらいの耐水ペーパぐらいまで使って原型の表面はそれなりに仕上げました。後で知人から聞いたところでは、ある程度きちんと表面を仕上げておかないとヒートプレスしたものの表面が荒れてしまうのだそうです。このあたりは私が確認したわけではありませんが、まぁ、表面を仕上げておくに越したことはないってことでしょうか。

 さて、このヒートプレスの過程で一番大切なところの写真がないのがつらいところなのですが、私が行った行程を記しておこうと思います。(工程の写真はいずれ掲載しようと思ってます)

 使用した素材は、ホームセンターで売っているスモークの塩ビシートです。厚さは1mmのものを使いました。大きさは30cm×50cmぐらいだったと思います。1枚700円ぐらいでした。(うろ覚えで書いておりますので、定かではありません。近日中に再確認しておきます)
 まずは、塩ビ板を穴あきベニヤ板に挟みます。今回は塩ビ板も大きく、また深絞り加工でもありましたので、両面テープを使ってベニヤ板と塩ビ板を接着しておきました。
 次に、塩ビ板を熱します。私はたまたま持っていた電熱コンロを使いました。(今時珍しいですよね) 加熱時には、できるだけ均一に熱することができるように注意しましたが、今回のように面積が大きいとなかなか難しい作業でした。(どうしても、ある部分だけ先に加熱されて溶けてしまうということが何度かありました)。電熱器を使用したのは、広範囲を比較的まんべんなく加熱できると考えたからです。ガスレンジだと、どうしても火力がある部分に集中してしまうのではないかと思います。(確認したわけではありませんが)
 加熱は、ほとんど溶ける寸前ぐらいまで行います。(特に今回は再深部で150 mmぐらいある深絞り加工で、塩ビ板も厚いものを使っていますので、かなり柔らかくなるところまで加熱しないと最後まで抜けませんでした)
 その後、掃除機のスイッチを入れ、おもむろに原型に塩ビ板を押しつけます。うまくいくと、塩ビ板がピタッと面白いように原型にくっつきます。

 とりあえず、これでできあがり…抜いたものは、表面がざらついていてこのままではゴーグルとして使えません。この後、一生懸命磨いてなんとか見えるところまで持っていくわけです。
 なんだか、簡単に書いていますが、実はこの作業、成功率はとても低いものでありまして…やっぱり、原型が大きいのと深いのが災いしたようです。私がやった限りでは、10回やって使えるのは3つか4つぐらいでした。塩ビ板も安くないので、失敗すると精神的なダメージはけっこう大きいです。
 典型的な失敗例としては、
 加熱が不十分で、深い部分が抜けなかった
 加熱が均一でなく、局所的に薄くなったり、シワができたりした
などがあげられます。いずれも塩ビ板の加熱が十分できるかどうかが問題であると感じました。(専用の大型バキュームフォーマーだと、加熱装置まで用意されているようなのですが…)



 とりあえず、いくつか抜いた塩ビ板のうち使えそうなものをチョイスして、必要な部分を切り取ります。マスクの他の部分をFRP成形するときに、ゴーグルの部分も一緒に塗り込めてしまいました。

 あとはここからひたすら磨き作業ということになります。
 もう、36歳の身としては、なかなか磨き作業をやる気力が湧いてこないというのがツライところではあります…

 このヒートプレス/バキュームフォームの手法については、いずれもう少し作業工程のわかる写真などを掲載したいと考えております。

 ……でもあれですね、こんな苦労をするくらいなら、例えば単純に穴をあけてしまって、そこに適当なセロファンみたいなものを貼るとか、あるいはゴレンジャーのマスクみたいに穴をいくつかあけるような表現を使うといった方法を採った方がいいんじゃないかと思ったりします。特に、自主映画用の場合は、演出とかで十分カバーできますから…
 今回は、ちょっとカッコイイものを作ってみたいという変な欲求があったので、あえて苦しい作業をするハメになってしまいました。

 もう一点、今回予想外に苦労したのは、面積が大きくかつ非常に深いものをヒートプレスしようとしたためだと思います。小型であまり複雑なものでなければ、透明部品あるいはスモーク部品を作るときにこのヒートプレス/バキュームフォームはけっこう有効な手段ではないかと思います。


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