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解雇


 労働契約の解約をめぐるトラブルで多いのが解雇に関することです。 解雇は、使用者から一方的に(労働者の同意を必要としない)労働契約の解約をするものです。労働者は労働の対価として賃金を受け、その賃金で生活しているので、使用者からの一方的な「解雇」によって生活に大きな影響を受けます。そこで、民法による権利濫用の禁止や、労働k基準法などの労働法によって解雇に関して大きく規制を加えています。これらの労働法の規制の多くには罰則を設けています。
 とは言っても、使用者に正当な理由があれば、解雇権は使用者に認められているわけですから、使用者から労働契約を一方的に解約することができないことはありません。
  解雇の有効性に関する規制としては、大きく分けると次の三つに分類されます。
     労働基準法、労働組合法などの労働法による規制  
     労働協約、就業規則などの自主規制
     権利濫用の禁止等の民事的な規制
です。
  まず、労働法による規制ですが、主な規制としては次のようなものがあります。
     国籍・信条・社会的身分を理由とした差別的解雇
     業務上の災害・疾病による休業期間中及びその後30日
     間

     産前産後の休業期間及びその後30日間
     結婚・妊娠・出産・産前産後の休業等を理由とした解雇
     育児休業の申し出・取得と理由とした解雇
     労働基準監督署長等への申告を理由とした解雇
     労働組合への加入・結成・組合員であること及び労働組
     合の正当な行為を理由とした解雇

などです。    
 次に、自主規制についてですが、労使の話し合いによって解雇に関して法令で規制されている項目の他に設けた規制のことです。具体的には、労働協約・就業規則・労働契約などです。
 労働協約とは、労働組合と使用者で締結された文書による協定で、この協定で解雇に関する自主基準を設ければ、それが合理的なものである限り基準に該当しない解雇は無効となります。
 就業規則は、常時使用する労働者が10人以上であれば、使用者に作成・届け出・労働者への周知が義務付けられている社内的な規制・規律を定めたものです。この規則が適法なものであれば、使用者及び労働者に法的拘束力を持ちます。就業規則については、今後項目を設けて解説する予定です。
 最後に民事的規制についてですが、権利の濫用と認められる解雇は認められません。つまり、解雇する場合には合理的な理由が必要であると言うことです。仮に前記した労働法及び自主規制に合致していたとしても、権利の濫用と認められれば無効となります。
 いろいろな判例がありますが、権利濫用となるか否かは個々に判断することになります。
 また、「退職」で解説したように、労働契約に期間の定めがあればやむを得ない理由がないが限り契約を解約することができませんので、当然解雇もできません。
 解雇に関する制限としては、解雇そのものが有効であるか無効であるかの制限ばかりではありません。民法では契約を解約する場合には二週間前にその予告をしなければならないことになっていますが、使用者が労働者を解雇する場合には、30日前に予告をしなければならない(30日前に予告をしない場合には30日分以上の解雇予告手当てを支払わなければない)と労働基準法によって修正されています。これは、解雇によって突然に生活の糧を失う労働者を保護するためのものです。
ただ、この場合でも例外が認められています。一つは
   試みの試用期間の者で、採用後14日以内の労働者
   二月以内の短期雇用契約によって使用される労働者
   4月以内の雇用契約で使用される季節的業務に従事する労
   働者

   日々雇い入れられる労働者
に対しては、解雇の予告又は解雇予告手当の支払いは必要ありません。
 例外の二つ目は、労働者を保護するに値しないような解雇の原因が労働者にあって、労働基準監督署長の認定を受けた場合又は天変地変その他のやむを得ない理由によって事業の継続が困難になって労働基準監督署長に認定を受けた場合です。この場合にも、解雇の予告又は解雇予告手当の支払いは必要ありません。
 短期契約によって契約している労働者でも、その契約が数回にわたって更新され、事実上契約更新が事務的になっている場合には、雇用契約の期間の定めがないものとして解雇の予告の義務が生じる場合があります。

 解雇の手続きに関しては、解説が長くなりますので別途項目を設ける予定です。

 なお、いったん申し渡した解雇予告は原則的に取り消すことはできません。取り消しができるのは、労働者が取り消しに応じた場合に限られます。

 使用者が労働者を解雇しなければならないと規定している例があります。使用者と労働組合が、雇用の条件としてその労働組合の組合員であることを協定した場合には、使用者は、労働組合から脱会又は除名された労働者を解雇しなければならないと定められています。代表的なものにでは、「クローズド・ショップ制」、「ユニオン・ショップ制」があります。
 このように、解雇に関してはとても多くの規制があり、この規制に関しての争いが多くあります。解雇された労働者が原告となり、解雇の有効性について争った裁判では、解雇を無効であるとした事例も多くあり、この場合には解雇が無効となるばかりか、職場への復帰と結審までの賃金相当の補償を使用者に求められます。使用者としては、法律上の解雇に関する規制の内容とその意味を十分に理解し、結論を出す必要があると考えます。労働者にも不当な解雇には正々堂々と戦う姿勢も大切であると思います。

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