『 あんたも達者で良かったねえ! 』

                     田舎の婆さより (64)

 さとこ婆さ、

 あんたは偉い便利つうか忙しそうな所に住んでるんだねえ。
 俺とこの田舎とはえれえ違いらて?
 公衆電話なら向こう隣のタバコ屋と交番前と風呂やの前に
 赤いのやら、青いのやら一杯あっぺな、
 俺所の方が文化的だべか?

 大根干しして、白菜干して漬け物つけるべえ思って乾物屋に
 樽買いにいったれば、お前さ、樽はねえってさ。
 ご先祖様の置いてった樽は箍さ外れて使い物にならんで
 10年ぶりに樽さ買うべと思ったっつうに、
 世の中不便になったもんらね?
 俺の漬け物どうして呉れるだ!

 ミイの代わりは当分いらねえ、毎朝オハヨって挨拶にいくだよ。
 背中に温い半天着せて、毎朝猫飯あげてミイも嬉しかっぺ?

 電話ってそんなに大切かのう?
 役場で只電話呉れるって云うたけど、俺はいらねえと断っただ。
 只より高い物はねえって思うでよ、
 裏の亀さんは只電話もろうて電気仕掛けの按摩機と電気の敷布
 電話で注文して孫に追い出されたでよ、
 俺は足腰丈夫らすけ動けなくなったらミイの傍、行くで
 それが楽しみらてば。


                         田舎の婆さ

                        「12月14日」  (0416) 



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