記憶の夜/memories

Konica HEXAR 35mm
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年が明けた。HPを立ち上げて5周年。
なぜか9年前に行ったヨーロッパの町角風景がよみがえってくる。
郷愁感にかられながら想いをはせた。
ヨーロッパへは他国の教育事情視察ということで5カ国を訪問した。
単独の個人的な撮影活動はほとんどできなかった。
最初に行った国はチェコ。
チェコの田舎町インダルシクハラデッツという町に滞在し、
周辺の2・3の学校をまわった。
チェコはちょうど革命の直後で、大きな教育改革が進められようとしていた。
訪問した地域の教育長はまだ20代後半という若さであった。
学校では自由な雰囲気の少人数指導の授業が行われ、印象的だった。
この国の少女たちの美貌、人形のような可愛さには舌を巻いた。
郊外にはコカコーラの大きな看板が立ち、西側の文化がどんどん侵入していた。
教師にとって、子供たちの生活指導については麻薬(大麻)との闘いだと聞いた。
宿泊はこの町の駅前広場のホテル。
広場は円形になって、それを教会をはじめ各建物が取り囲む。
島国日本と違って、大陸ヨーロッパはさまざまな侵略戦争の歴史を持つ。
防衛上と宗教上の目的で円形広場が町の中心になるという。
数世紀も前の戦争の傷跡が町かどのあちこちに残っていた。
小さな縦長のホテルは4階建てでエレベーターはなかった。
重いトランクケースをかつぎながら3階の宿泊部屋に上がらなければならなかった。
食事は主にポテトだった。質素なわりには結構おいしかった。
数日後に尋ねたオーストリアの町では自分の国ではそれは家畜の飼料だと言った。
この広場に面して怪しい中華料理屋が一軒あった。
ラーメンを食べようと、仲間と二人で夜の町に出かけた。
読めぬ文字のメニューをひっくり返しながら、やっとありついたのはふやけたスパゲティの麺だった。
sakeを注文すると、酸っぱい酒が出てきた。何年も注文者がないという。
ほったらかしにしておくと、酒が腐る(雑菌で酢に変化)のは本当だ。
店を出て、素朴な町かどをしばらく歩き、たまたま見つけた薄暗いカフェーに入った。
そこには若者たちがたむろし、ロックミュージックの下で、煙草をまわし飲みしていた。
ああ、これが大麻なのだ、と思った。
帰宅したホテルの部屋は質素でベッドは硬く、寝つかれなかった。
窓から見下ろす広場は街灯にさらされ、異国の輝きをしていた。
そっとヘキサーを持ちだし、2・3枚シャッターを切った。