ランダム・イメージ/Random Image
MINOLTA XD 28mm
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海風の強い海岸、男が防波堤に立った。
背広のシワが語る。
このとき、自分の感覚のヒダとこのシワに奇妙な共犯関係を感じた。
写真を始めてちょうど1年くらいが経った頃の写真である。
わたしは、1枚写真の完成度という言葉をよくBBSに書いているが、この写真を
植田正治先生に見せたとき、これは1枚で完成された写真だとおっしゃった。
その時から、写真の完成度というものが頭に巣くうようになった。
かけ出し・初心者だったが、無謀にも当時話題の、今はなき写真誌・カメラ毎日の口絵
”アルバム”に、この写真を含めて「ランダムイメージ」のタイトルで、10枚程度投稿した。
幸運にも、4点・3ページという構成で掲載通知をいただき、有頂天になった。
1980年・カメラ毎日・11月号に掲載。
写真評論家・田中雅夫さんに次のような評をいただいた。
「私はこの作者について知るところは全くないが、この4枚の写真から受ける印象
は写真から写真以外のものをできるだけ除いていこうという意識があるということ
だ。文学的主題、詩的イメージ、絵画的構成、そういうものを極力なくして、純粋な
写真的魅力をつくりだそうという強固な意志をここに見るのである。そのような作
業を創造の世界でやったのは、例えば詩におけるボードレール、絵画におけるセ
ザンヌ、彫刻におけるロダンとマイヨール、写真の場合、視点、視角によっていろ
いろな写真家を上げることができようが、わたしはマンレイあたりに指を屈する。」
意識できなかった自分の感覚的な美学を、この田中さんの言葉によって理性で認識し、
この方向が私の写真だと強く言い聞かせ、おのれの原風景として胸に抱くようになった。
そういう意味で、この写真はわたしの原点だと思っている。