■GM型式番号問題


「気になる記述シリーズ」投稿日 9月19日(土)09時24分 投稿者 与謝野折檻

RGM−79Eのスペックで気になる点を発見。
さるサイトによると、なんとジェネレータ出力が1350kwもあるのよ。
出典は「ニュータイプ96年2月号」と明記してあるのでほぼ信用できる。
これってスゴイ大切なことなんだけど、これでいいのか本当に?

ところでRGM−79(E)だと思ってきたが、どうもRGM−79Eらしい。そこんところどうなんだろう?(G)とバランスが取れなくてもいいのか?


「まちがい」投稿日 9月19日(土)09時27分 投稿者 与謝野折檻

あまりのショックについ間違えた。
1350kwなら許せるかな?と思ったんだが・・・・
本当は1390kwラシイ。どうしようこんなの?

この時期にこの性能! 強すぎだろうよ(^^;)


「RGM−79Eのジェネレーター出力問題」投稿日 9月19日(土)15時49分 投稿者 天津甕星

 1390kWって、RGM−79GS"GMコマンド(宇宙戦仕様)"と同じジェネレーター出力。これと間違えたんじゃないかな、『ニュータイプ』編集部かそのHP作者が。 一年戦争時のRGM−79はジェネレーター出力から仮に分類すると、先行型(ジェネレーター出力=1150kW)、前期型(1250kW)、後期型(1390kW)の3つに分けられます。先行型はRGM−79(G)、前期型は劇中のジャブローに配備されていたタイプ、後期型はGMコマンド、GMスナイパーカスタムが代表的です。時期的には当然、先行型→前期型→後期型になります。1390kWなら明らかに後期型で、時期的には先行型に所属されるであろうE型の出力とは考えがたいです。RX−78−2ですら1380kWですからね。折檻の指摘通り、1350kWならばRX−79(G)の主機を流用したと考えられるのですが。

 間違いでないとすると、非常に困ります。設定を作るのは勝手だけど、もうちょっと頭を使って考えてほしい。自分のような訓詁学者(の仮面をかぶった陽明学者)が後から悩みます と、文句を言ってもしょうがないので、E型=1390kWのもっともらしい説明を考えねばなりません。劇中でE型が登場したのはギレンの演説の日ですから、10月6日。RX−78の完成が7月ですから、この間、約3ヶ月あります。この間に主機も日夜タキム社などで改造、改良を行い、進歩しているでしょうから、1390kWの出力を発揮できるようになっていたかもしれません。で、ここからがミソなわけですが、このE型とは"GMスナイパー"でないかと思うのです。

 検証を進めます。
 「ロングレンジ・ビームライフルを装備したRGM−79(G)はジムスナイパーと呼称される」と『機動戦士ガンダム/第08MS小隊フィルムコミック』8巻(辰巳出版 1998)に書かれてます。通常のGMでは出力の関係でスナイパービームライフルを撃てませんから、撃てるように主機を換装したと考えられます。甕星としては通常のGMから主機を換装しただけの機種が"GMスナイパー"、製造の段階から主機を換装し、その主機に応じて各種のチューンを行ったのが"GMスナイパーカスタム"とそれぞれ呼称し、呼び方を使い分けていたのではないかとにらんでいます。E型もスナイパービームライフルを撃てるように主機換装を行えば、"GMスナイパー"と呼ばれていたということになります。そして"GMスナイパーカスタム"のジェネレーター出力は1390kWですから、逆説的に"GMスナイパー"のジェネレーター出力が1390kWでもおかしくないのです。

 劇中のE型はそんなビームライフルは持っておらず、実体弾式の通常ライフルを使用していましたが、開発間もないスナイパービームライフルは整備が難しく戦場でのジャミングが多発したため、パイロットたちは信頼性に優れた通常ライフルを愛用していたのかもしれません。特にサンダース軍曹は自分が死神と呼ばれていることにナーバスになっていますから、より信頼性のある通常ライフルを選択したと考えるのもそれほど不自然ではないと思います。

 それ以前に、サンダース機がスナイパー仕様と考える必要はなく、たまたま『ニュータイプ』96年2月号で解説したE型がスナイパー仕様だったと考えることもできます。

 RGM−79(E)の型番表記の件です。このような表記の代表は「RX−79(G)」でしょう。甕星はこの型番は連邦軍の制式型番ではないと思っています。制式型番はあくまでも「RX−79(本当ならX番はまずい。制式採用された時点でRG−79とすべきなのだろうが………)」で、「(G)」の部分は後の研究者が先行陸戦型だから、その他の型とわかりやすいようにつけたのではないでしょうか。「RGM−79(G)」を例にするともっとわかりやすいと思います。この「(G)」は通常量産型のRGM−79と区別するため、先行陸戦用量産型のRGM−79の後ろに、「(G)」をつけたと考えられます。同じような例に"GMスナイパーカスタム"もあります。

 "GMスナイパーカスタム"の型式番号は最近の『機動戦士ガンダムRPG』(ホビージャパン 1997)には「RGM−79SC」と書かれていますが、『機動戦士ガンダム大図鑑PART.1 一年戦争編』(バンダイ 1989)では「RGM−79(SC)」、原典である『モビルスーツバリエーション3 連邦軍編』(講談社 1984)ではただの「RGM−79」です。このことを説明するためには、制式型番は「RGM−79」であり、一般量産型のRGM−79と区別するため、後の研究者がスナイパーカスタム仕様なので便宜的に「(SC)」とつけたのだが、この経緯がわかっていない素人ライターが制式型番と思い込んで「RGM−79SC」と表記したと考えざるを得ません。
 E型の場合は制式型番自体が「RGM−79E」だったと考えられます。ちなみに「RGM−79(E)」と書かれた資料はないと思います。


「RGM−79Eの型式問題」投稿日 9月19日(土)20時59分 投稿者 与謝野折檻

 RGM−79の型番を論じるに際し、E型のみを取り出して論じてみてもおそらくは何も結論は出まい。そこでRGM系列の機体を、以下、型式番号順に挙げてみよう。
RGM−79C
RGM−79D
RGM−79E
RGM−79F
RGM−79(G)
RGM−79G
RGM−79GS
RGM−79LA(RGM−79(LA))
RGM−79N
RGM−79Q
RGM−79R(RGM−179)
RGM−79SC(RGM−79(SC))
RGM−79SP
RGM−79T?(TGM−79)
となり、少なくとも開発順ではないことが分かる。

 しかし、この中でも開発順、というか発展順に並んでいる部分があるのがお分かりいただけるだろうか? RGM−79N>RGM−79Q>RGM−79Rの辺りである。「O型」という型番は「I型」とならんで通常使用されない。これはアラビア数字の「0」、「1」と字形が似ているためで、兵器の型式番号に使用した場合、混乱の原因になるため使用を避ける習わしがあるからである。そうすると、この間「P」型が抜けただけで、後は順次開発が進んでいったことが分かる。

 これはおそらく「戦後」という時代がもたらした軍部の余裕からくるものと思われる。戦時下にあっては系統立てて「A型」から「Z型」まで開発している余裕はない。ジオン軍のMS−06とて戦前に開発された機体はMS−06Aから始まり、順次B、C、と開発されたものが、戦時体制下に入るや(必ずしも開戦後を意味しない)、局地戦用機に対し用途に合わせて型番号を与えてしまい、F型、J型など、空いた型番号に純粋発展した汎用機を充てている。これは連邦にとってもおそらく同様で、RGM−79の型番号は用途に合わせて場当たり的に与えられていた感がある。幾つものプロジェクトが各開発班に平行して割り振られ、それらに用途別に番号が振られたものと考えられるからだ。

 その良い例がRGM−79SPであろう。「デザートGM」と呼ばれる機体は、当初RGM−79SPの型番号を頂いていた可能性が指摘されている。これが「GMスナイパーU」の実用化にともない彼の機体にRGM−79SPが与えられたため、宙に浮いた形になったのである。天津氏の指摘どおり、スナイパー系列の機体はRGM−79汎用機をチューンしてジェネレータ出力を向上させ、スナイパー・ライフルを使用可能にした現地改修機に端を発するものと思われる。おそらく当初はRGM−79(S)とでも表記したのだろう。(理由は後述するが、この点、天津氏とは見解が異なる)これがRGM−79(G)改修の「GMスナイパー」に相当する。この改修は後年の「GMV」と「ヌーベルGMV」のように、主機のみを汎用機にレトロフィットした機体と、新たに製造された新造機とがあったものと考えられる。このうち、新規製造機を「RGM−79SC」と呼んだのではないだろうか。さらに、「SC」仕様のパッケージングもオプションとして用意され、簡単な現地改修で「SC」仕様にカスタマイジング可能になったとしてもおかしくはあるまい。こうして現地改修により「SC」 仕様となった機体、あるいは破損等の理由により後送された機体にオプションを加えた機体を「RGM−79(SC)」と( )書きにして表記したのではあるまいか?

 ここからは推定だが、より厳密を期すならば、「寒冷地型改修のスナイパー・カスタマイズ仕様」は「RGM−79D(SC)」といったように表記されるべきであろう。だからこその( )書きだと思われる。ジオンの「/」と似た意味合いが想定できる。そして、この「SC」の発展型として実用化された機体が「SP」型であろう。「SC」がおそらく「Sniper Custom」の略であるからには「SP」型は「Sniper Professional(又はPreferenceないしProduction)」と思われるが、断定は避けたい。

 話を「E」型へ戻そう。このRGM−79Eは宇宙軍による開発当初からの宇宙用機(実際は汎用機)であり、( )書きなしの順当な型番表記で問題ないと思われる。これに対し、RGM−79(G)は、RX−79(G)同様にRX−78の余剰部品を利用して組み上げた機体を地上戦専用に改修した機体、ないしはそのコピーであり、一度はRX−79、RGM−79として形になったものと思われる。これを譲り受けた陸軍が、地上での運用を考慮して部分改修を施したのがRX−79(G)、RGM−79(G)なのではなかろうか? 一度書類上で登録された機体を改修した場合には( )書きを用いるのであれば、これで筋が通ると思うのだがどうだろうか? 

<付録>
「実際の兵器の型式番号に見る( )書き記号について。」

 以下に参考として第二次大戦中のドイツ軍の型番表記における( )書きの例を挙げる。
(a)アメリカ製
(b)ベルギー製
(d)ドイツ製
(e)軽装軌式車両
(FL)火炎放射型
(f)フランス製
(H)ヘンシェル社製
(i)イタリア製
(K)クルップ社製
(o)オーストリア製(正しくはウムラウト付き)
(p)ポーランド製
(P)ポルシェ社製
(r)ロシア製
(Sf)自走砲
(t)チェコスロヴァキア製
(TP)熱帯地用
(V)フォーマーク社製
 以上であるが、大文字、小文字は厳然と区別されるので注意が必要である。

 分析的に見れば分かるとおり、序数記号的に(1>2>3同様、A>B>Cというように)進化してきた機体に振られるものは一つとしてない。基本的に捕獲兵器や製造工場、改造型等に振られるものである。なんらかの参考になれば幸いである。

 さらに、ドイツの有名な戦車にU号戦車があるが、この戦車はa>b>c>A>B>C>D>・・・・>L>Mという不思議な発展をしている。このうちa、b、c型は増加試作型であり、A型以降が生産型である。c型とA型はほぼ同仕様で、極論すればc型の量産型がA型であるとも言える。これらの事例も含むものは大きいと思う。いずれMS等にも反映させ、よりよい型式番号論を構築していきたいと思っている。


「GM系型式番号の宿題」投稿日 9月20日(日)01時31分 投稿者 天津甕星

おお、なるほど。改修されると()書きになるのね。
それ自体は賛成。でも改修型なら「RGM−79(SC)」、製造からのものなら「RGM−79SC」だとすると『モビルスーツバリエーション』やプラモ解説書でただの「RGM−79」と表記されるのはどうして? "ライトアーマー"もそう。『EB1』では「RGM−79(L)」(LAではないぞ)となっているが、これは改修型なのだろう。しかし『モビルスーツバリエーション』ではただの「RGM−79」だ。ここら辺を上手く説明せねば、説明したことになるまい。


「ライトアーマーね。」投稿日 9月20日(日)01時53分 投稿者 与謝野折檻

これ、どっち書こうか迷ったんだよ。
口絵の方は(L)なんだけど、本文(48ページね)は「LA型」って
書いてあるんだよ。(もちろんEB−1のことね)
EB−25のデザートと陸戦用は口絵はただの「RGM−79」なん
だけど90〜93ページの本文ではそれぞれSP、Fってなってる。
こっちだけ本文モードでライトアーマーは口絵モードってのも何
なんで、こう表記したわけだ。本来なら(  )書きで併記しておく
べきだった。それは反省。


「サラのRGM−79」投稿日 9月20日(日)02時14分 投稿者 与謝野折檻

 「なにも記号が付かないRGM−79で且つスナイパーの場合」ってことだね?

 それは分類上は「RGM−79(SC)」だけども、機体番号というか製造番号というか、フレームに刻印されたロールアウト時の刻印は一生そのままなんよ。だから、筆者なり、編集者なりの方針が製造番号、というか登録番号というか、フレーム刻印を重視する人だった場合、明らかに(SC)仕様にもかかわらず、RGM−79と表記するんですよ。

 「スケール・アビエーション」誌の零戦の記事は読んだかな? 型番は進化しても実際は旧型のまま・・・・とか、その逆なんてのは多々あるのよん。だってさ、RGM−79E(GS/SC)なんて機体はなんて表現するのよ。2回以上改装されたりしたら何がなんだか判別つかないでしょ? また、外観からではSC型なのか、(SC)型なのか判別できないわけだから、その機体の履歴がE型として製造されながら、1度(SC)に改装されたあと(L)に改装された・・とか、だったらお手上げでしょう? そういうのは厳密な解析は不可能なんだからフレーム番号で表記しておきましょう・・みたいなのがあるんじゃないかな? とって付けたような説明だけど、うすうすこういう風には考えていたし、もっといいアイデアがあれば別だけど、それまではしばらくこの説かな?


深いですねぇ〜投稿日 9月21日(月)23時27分 投稿者 くわっく・さるう゛あー

>厳密な解析は不可能なんだからフレーム番号で表記しておきましょう・・
輸入外車等でもわけの解らなくなっているモノ(輸入経路や書類の不備等で)はフレームナンバー優先なので、考え方としては大正解だと思いますよ。


「あの出力はGS型」投稿日 9月26日(土)23時11分 投稿者 天津甕星

 出典としてあげられていた『ニュータイプ』96年2月号を古本屋で買って調べてみました。
 確かに08小隊1話で出てくる"ジム"、"高機動型ザク"、"ボール"が並んでポーズを取っており、名称とスペックが解説されているわけですが、その説明はRGM−79 GS、MS−06F ZAKUU〔TEST TYPE〕、RB−79 BAILとなっている。どこにもRGM−79Eなんて書かれていないぞ。GSならば1390kWで当たり前。もともとE型というのはHJの出版物しか記載されていない型で、初期設定にあったかどうかは疑問。

 現在RB−79Kとして説明されているボールすら初回特典ブックレットと封入ライナーノーツにはRB−79Bとなっているし、08小隊は後付け設定が多いようです。
 E型が宇宙用ということなので、当然1話のジムはRGM−79Eであり、それを解説してあった2月号のGS型はE型の勘違いであり、そしてE型のジェネレーター出力は1390kWであるという驚くべき3段論法でE型=1390kW説を導き出したらしい。GS型とE型を間違えているのなら、出力だって間違えている可能性が高いだろうに。それをそのままE型の出力とするのは明らかに無謀だろう。

 ああ原典を調べないであの記述を鵜呑みにしないで良かった。やはり研究というものは孫引きではダメだということがわかった甕星でした。 


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