■ペガサス全肯定■
−Ver.1.1−
混迷のペガサス事情を鑑み、MILLENNIUMから大提案。
かねて「SCV-X」として研究されていたものが、U.C.0077年度戦力整備計画に盛り込まれ「SCV-27」あるいは「SCV-27A」計画(註1)として議会通過。
実際の起工はU.C.0078年2月(註2)、ジャブローのAブロック船台。
艦種分類の「SCV」はおそらく「Space Carrier」(註3)。一時「航空機を多数搭載した戦艦(SBB)」に分類されていたというが、その時の艦体番号は不明。
艦体番号 | 艦名 | SCV-27計画「ペガサス」級として |
SCV-69 | ペガサス | 1番艦 |
SCV-70 | ホワイトベース | 2番艦 |
SCV-71 | ペガサスJ | 3番艦 |
ここでワンクッション。U.C.0077年度戦力整備計画では3隻の調達。
その後、仮に「4隻の調達が計画された」とすると、講談社『MS WARS』の記述が肯定できる。
他に「トロイホース〜中略〜ペガサス級の4番艦である。」(『SD大図鑑』)とする記述も肯定可能。
艦体番号 | 艦名 | SCV「ペガサス」級として | 備考 |
SCV-69 | ペガサス | 1番艦 | 77年度会計/78年2月起工 |
SCV-70 | ホワイトベース | 2番艦 | 77年度会計/78年2月起工 |
SCV-71 | ホワイトベースJr. | 3番艦 | 77年度会計/78年2月起工 |
SCV-72 | トロイホース | 4番艦 | 78年度予定 |
SCV-73 | グレイファントム | 5番艦 | 78年度予定 |
SCV-74 | 艦名未定 | 6番艦 | 78年度予定 |
SCV-75 | 艦名未定 | 7番艦 | 78年度予定 |
概ね上の表のようになろうと思われる。
…が、この4番艦以降の計画は結局、予算等の問題で計画倒れに終ったものと考える。
ほんの一瞬の「儚い夢」だったとしよう。
なお、SCV-71「ペガサスJ」は、かなり早い段階で「ホワイトベースJr.」と名称変更したものと考えると、小説版がある程度肯定
できる。
その一方で、「何か別の艦種で似たような艦の建造が計画された」と考えると、その後の苦難の道にも少し抜け道が出来る。
参考として米軍の「空母」と「護衛空母」の関係を挙げよう。
これらはそれぞれ別個の艦種分類であり、CV、CVA、CVB、CVL、CVN等が同一序列中に並んでいるのに対し、護衛空母CVEは、これとは別の独自の序列をもって登録されている。たとえば、正規空母CV-9「エセックス」は1942年12月31日の就役だが、同じ年の9月26日にはCVE-9(当初ACV-9)「ボーグ」も竣工している。
たまたま艦体番号の似た艦が同じ年に建造されることはあり得るのである。建造ピッチの早い艦種と遅い艦種が存在し、早いピッチの艦種が後から計画されれば、いつか「同じ数字の艦が同じ年に建造される」という事態が発生するのだ。
おそらく「正規宇宙空母」に与えられるであろう「SCV」に対し、「SCVA」が何を意味するのかは不明だが、それまでに既に71隻が建造されている必要性から「護衛空母」、「補助空母」の類ではないかと推測する。根拠としては「アンティータム級補助空母」という語が既に存在していることが挙げられよう。
アンティータム級はコロンブス級の艦体を流用しているが、用途がまったく違うのだから、艦種分類もまったく別のものに変更されているはずであり、その艦体番号候補として「SCVA」を想定するのである。24隻が建造されたとされる(『模型情報』58号参照)アンティータム級が仮に「SCVA-1」〜「SCVA-24」だったとして、その後に若干仕様を変更したクラスが「SCVA-25〜SCVA-71」まで建造されたか、あるいはアンティータム級以前から既に「補助空母」が存在しており、同級は「SCVA-48〜SCVA-71」に相当したのかもしれない。
あるいは「改装空母」「特設空母」といった分類も想定できる。この場合、「補助空母」にありがちなヨワヨワなイメージを払拭できるのが強みだが、実際には五十歩百歩であろう。しかし、「ホワイトベース」の全長250mに対し、「アルビオン」が305mと大型化していることから考えれば、SCVA系の艦の方が強力な艦として再設計されている可能性も高く、「補助」という語はそぐわないかもしれない。
とにかく、「SCV」とは異なる「SCVA」という艦種分類が存在し、ここでSCVA-72「サラブレッド」から始まる「サラブレッド級」3隻(ないし4隻)が調達されたと考えたい。
いずれにせよ、SCV-73「ブランリヴァル」とSCVA-73「トロイホース」が抵触する故の苦しい解釈である。
艦体番号 | 艦名 | SCVA「サラブレッド」級として | 広義の「ペガサス」級として |
SCVA-72 | サラブレッド | 1番艦 | 4番艦 |
SCVA-73 | トロイホース | 2番艦 | 5番艦 |
SCVA-74 | 艦名未定 | 3番艦 | 6番艦 |
以上により『MSV 3連邦軍編』を肯定。
SCVA-73についてはSCV-72と同名だが、これは計画段階で立ち消えになった「トロイホース」の名が再び与えられることとなったのであろう。
ところが、この後に「SCV」正規空母としても同型艦の建造が決り、以下のような建造計画が策定されたとしよう。
艦体番号 | 艦名 | SCV「ペガサス/ホワイトベース」級として |
SCV-69 | ペガサス | 1番艦 |
SCV-70 | ホワイトベース | 2番艦 |
SCV-71 | ホワイトベースJr. | 3番艦 |
SCV-72 | 不明(トリ○ューンである含みを持たす) | 4番艦 |
SCV-73 | ブランリヴァル | 5番艦 |
SCV-74 | 艦名未定(セントールである含み) | 6番艦 |
SCV-75 | 艦名未定(イルニードである含み) | 7番艦 |
おそらく、U.C.0079年度の緊急整備計画に上手く乗ったか、U.C.0078年度の補正予算でも通ったのであろう。
一部は起工済みだったのかもしれない。作業は急ピッチで進み、何隻かが(少なくとも「ブランリヴァル」は)一年戦争に間に合ったのである。
ところで、最近出版された『MSVコレクションファイル』では、ペガサス級にまたぞろ新たな番号を与えているが、この「LMSD」(MS搭載強襲揚陸艦)は「SCV」の単なる艦種分類変更ではないのが問題である。同書の記述は以下のようにまとめられる。
艦体番号 | 艦名 | 備考 |
? | ペガサス? | ?番艦 |
LMSD-71 | ホワイトベース | 1番艦 |
LMSD-72 | ||
LMSD-73 | ||
LMSD-74 | ||
LMSD-75 | ||
LMSD-76 | グレイファントム | 5番艦 |
LMSD-77 | スタリオン? | 6番艦 |
LMSD-78 | アルビオン | 7番艦 |
どう考えても数字が合わない。これを肯定するためには「LMSD-72」から「LMSD-75」の間で、2隻もあいだに挟まる必要が生じるのである。
そこで…というか、そのために用意したのが「SCVAサラブレッド級」なのである。『MSV
3連邦軍編』の記述を最大限に活かし、これにほぼ沿うかたちで1番艦SCVA-72「サラブレッド」、2番艦SCVA-73「トロイホース」が終戦間際に就役していた(3番艦SCVA-74は未完成)とすれば、以下のような「LMSD表」が作成できる。
おそらく、それまでの「空母」、「補助空母」といった分類に捕らわれない、まったく新しい概念として「MS搭載強襲揚陸艦」LMSDを新設し、そこにMS運用艦を片っ端から付け替えたのであろう。
新番号 | 旧番号 | 艦名 | 新番号内での序列 | 戦後の新分類 | 戦後新分類での序列 |
LMSD-70 | SCV-69 | ペガサス | 1番艦(2番艦) | MSC-01 | 1番艦 |
LMSD-71 | SCV-70 | ホワイトベース | 2番艦(1番艦) | 戦没0079.12.31 | × |
LMSD-72 | SCV-71 | ホワイトベース(II) | 3番艦 | MSC-02 | 2番艦 |
LMSD-73 | SCV-72 | 不明 | 4番艦 | 戦没? | ×? |
LMSD-74 | SCV-73 | ブランリヴァル | 5番艦 | MSC-03 | 3番艦 |
LMSD-75 | SCVA-72 | サラブレッド | 6番艦 | MSC-04 | 4番艦 |
LMSD-76 | SCVA-73 | グレイファントム | 7番艦 | MSC-05 | 5番艦 |
LMSD-77 | SCVA-74 | スタリオン | 8番艦 | MSC-06 | 6番艦 |
LMSD-78 | SCVA-75 | アルビオン | 9番艦 | MSC-07 | 7番艦 |
こうすることによって数字がピタリと符合するのである。
ちなみに、謎のLMSD-1〜LMSD-68に関しては、『戦略戦術大図鑑』にいう「MS母艦として運用されたコロンブス型輸送艦」が想定できよう。
なお、「スタリオン」「アルビオン」はU.C.0081年に可決された「連邦軍再建計画」の一環として建造された艦であるが、U.C.0083年には既に艦種分類が「MSC」(Mobile
Suit Carrier?)へと変更されている。LMSDは意外と短命な艦種分類であった。
ペガサス/ホワイトベース級には、上記の他「セントール」「イルニード」等が存在するが、これらが「アルビオン」より後の就役で良いかどうか、が今後の課題であろう。問題なければ、「MSC-08」「MSC-09」あたりがそれらしいが、いずれにしろ私ごときが決めることではない。
さて、混迷のペガサス級に対する、今現在の筆者の見解を一覧にすると、概ね以下の通りとなる。
宇宙空母 補助空母 |
議会通過時 | MS揚陸艦 | 0079末頃 | MS母艦? | 0083頃? |
|
||
SCV-69 | 1番艦 | LMSD-70 | 1番艦 | MSC-01 | 1番艦 | ペガサス | ||
SCV-70 | 2番艦 | LMSD-71 | 2番艦 | − | − | ホワイトベース | ||
SCV-71 | 3番艦 | LMSD-72 | 3番艦 | MSC-02 | 2番艦 | 計画時ペガサスJ/竣工時ホワイトベースJr./就役時ホワイトベース(II) | ||
SCV-72 | 4番艦 | LMSD-73 | 4番艦 | − | − | トロイホース(後にトリ○ューン?) | ||
SCV-73 | 5番艦 | LMSD-74 | 5番艦 | MSC-03 | 3番艦 | 計画時グレイファントム/就役時ブランリヴァル | ||
SCV-74 | 6番艦 | − | − | − | − | 艦名未定(後のセントール?) | ||
SCV-75 | 7番艦 | − | − | − | − | 艦名未定(後のイルニード?) | ||
SCVA-72 | *1番艦 | LMSD-75 | 6番艦 | MSC-04 | 4番艦 | サラブレッド | ||
SCVA-73 | *2番艦 | LMSD-76 | 7番艦 | MSC-05 | 5番艦 | 竣工時トロイホース/就役時グレイファントム | ||
SCVA-74 | *3番艦 | LMSD-77 | 8番艦 | MSC-06 | 6番艦 | (スレイ○ニール?)/スタリオン | ||
SCVA-75 | *4番艦 | LMSD-78 | 9番艦 | MSC-07 | 7番艦 | アルビオン | ||
参考 | ||||||||
SCV-76? | ☆1番艦 | − | − | − | − | ノースポール | ||
SCV-77〜 | ☆2番艦〜 | − | − | − | − |
註1:「SCV-27」は『模型情報』第58号、「SCV-27A」は『MSV3 連邦編』による
註2:『MSV3連邦編』による。『模型情報』第58号によると「開戦の前年」
註3:『模型情報』第58号は「計画立案当時は、SCV-Xのコードネームで呼ばれていた。もちろん艦種は宇宙空母であった。」としている
最近心が広くなってきたのか、若干の「スキマ」が設けてあるのが特徴である。
とりあえず、これはver.1ということで、まだまだ手直しする予定。