ラテックスで怪獣のマペットモデルを作る

 全長40〜50cm程度の怪獣のマペットモデルをラテックスで作ることにしました。
 自主制作映画「怪獣が出てきた日」の企画は、3年ぐらい前からあたためており、99年の8月には人物シーンの撮影を終了していました。
 残された特撮シーンは2000年の夏に撮影する予定でしたが、諸般の事情から延期されていました。21世紀を迎えた今年中には何とか完成させようと、現在怪獣人形の作成を行っているところです。
 当初はこの怪獣をモデルアニメーションで撮影しようと考えていました。そのために、骨格となる金属製のアーマチュアまで製作していました。しかし、やはり撮影にかかる時間や手間を考えたときに、これはモデルアニメーションよりはマペットで撮影した方が良いのではないかと、考え方を変えた次第です。
 というわけで、急遽方針を変更して、マペットモデルをラテックスで製作することになりました。なお、最近では怪獣などのモデルはより質感のあるフォームラバーを使って作ることも多いようです。私も当初はフォームラバー製のモデルを作るつもりでいました。しかし、フォームラバーは型に注入した後にオーブンなどで加熱してやる必要があります。そうなると、今回のような大きな型を入れることのできる加熱装置を見つけることができそうにありませんでした。そういうわけで、型に塗るだけで成形できるラテックスモデルを採用した次第です。



 


   原型は、FRPモデルと同様に油粘土で製作します。怪獣のデザインと粘土原型製作は知人のH.T氏に依頼しました。2番目のお子さんがお生まれになった直後に、このような作業を頼んでしまったのは申し訳なく思っております。
 今回のモデル作成にはLEON粘土のうち、最も硬いものを使ってもらいました。これは、H.T氏が当時埼玉在住だったため、H.T氏の自宅で作成したモデルを私が住んでいる鳥取県に宅配便で輸送する必要があったからです。そういった制約がなければFRPマスクのときに使ったのと同じ中硬粘土を使った方がよかったかもしれません。
 実際、この粘土はとても硬く、造形するにも石油ファンヒーターで柔らかくしながらの作業であったとのことでした。しかし、そのおかげで宅配便ではるばる輸送されてきたモデルは特に変形することもなく、その後の型どり作業には非常に助かった次第です。
 なお、原型の大きさは全高380 mm、尻尾まで含めた全長が700 mm程です。これぐらいの大きさのモデルになると、粘土の自重がかなり大きくなってしまい、適切な骨組みと支えがなければ全身を組むことができなかったそうです。特に脚部が重みで曲がってしまって苦労したとのことでした。
 
 

     さて、送られてきた粘土原型をながめつつ、石膏型を作るための分割を思案いたしました。さすがにそのままでは型どりできませんから、スタンダードに頭、胴体、手、足と分けていきます。手と足は更に手首と腕、そして足首と脚部に分割することにしました。思い切ってカッターナイフで粘土原型を切り刻んでいきます。
 
 

     各パーツの分割ラインとなるところに0.3 mm厚のプラ板を差し込んでいきます。プラ板どうしの隙間は布テープを貼ってふさぎました。その後、石膏を盛っていきます。このとき大切なことは、特に凸部での石膏の厚さが薄くならないようにすることです。今回も、胴体のパーツでは一部薄い部分があって、後に型を外す段階で型が割れるなどのトラブルが発生しました。
 
 

     足首や手首などのパーツは、柔らかい図画工作用油粘土に埋め込んで、その界面を分割ラインとしました。足首の場合は、回りにプラ板の壁をたてて、そこに石膏を流し込むようにして型どりを行っています。やはり、型枠に石膏を流し込むという方法が石膏各部の厚みを大きくとることができて有効であると思います。
 
 

     胴体の石膏型です。一部石膏の盛りが薄いところがあり、型を原型から外す際に苦労しました。型が割れそうになったら、いったん作業を中断して、石膏を更に盛るなどの修正をしていきました。その後、内面にできたひび割れの部分には石膏をつめて穴をふさぎました。怪獣の場合は表面が少々荒れていたり、多少歪みがあったりしても、なんとなくごまかせてしまうので気は楽でした。
 
 

     頭の石膏型です。今回はラテックスで型抜きしますから、少々の逆テーパーがあっても大丈夫です。特に、この頭部は耳の部分が大きく張り出しており、FRPならば型を壊しでもしなければ絶対に抜けないような形状になっているのですが、ラテックスの場合は意外に簡単に抜くことができました。   

     腕の部分です。
 
 

     足首です。足首は前述のように工作用の柔らかい油粘土に埋めた状態で分割ラインを作っています。このため、半面に石膏を盛った後に、油粘土を取り外して分割ラインになる部分に離型材としてワックスを塗布しています。写真のなかで茶色っぽく見えている部分がワックスです。
 
 

     脚部です。
 
 

     手首です。手首も2分割しています。原型では、爪を折り曲げたようなポーズになっていたため、この石膏型もずいぶん深いものになっています。
 
 

     今回使用したラテックスは2種類。数年前から買い置きしていたレヂテックスのS-500というものは、かなり分厚い皮膜を作ってくれて、表面は飴色になります。また、最近大阪心斎橋の東急ハンズで購入してきたクォー・ユー化成のL-5000は、白色で皮膜が比較的薄いように感じました。なお、価格は1kg入りで2200円でした。今回は1体作るのに1kg入りのボトルを約1本使用しています。

 なお、レヂテックス社のウェブサイトには造型用ラテックスなどの紹介や素材に関する掲示板などもあって、ラテックスのご使用に興味がおありの方には参考になるかと思います。

 ところで、ラテックスはポスターカラーを適量混ぜると着色することも可能です。怪獣の基本色を作っておいて、あらかじめその色でラテックスを成形するということも考えたのですが、今回はモデル作成時点で怪獣の色をどうするか迷っていたので、とりあえずはラテックスの色そのままで成形することにしてしまいました。
 
 

     石膏型にラテックスを塗布していきます。ラテックスは石膏から比較的簡単に離れてくれるので、石膏には特に離型剤は塗りませんでした。(適当な離型剤を使えば、型抜きがより簡単になるかもしれません) FRPの場合と同様に、まずは刷毛を使ってラテックスを数回重ね塗りして皮膜を作ります。その後ガーゼを適当な大きさに切ったものを裏打ちするようにラテックスで塗り込んでいきました。
 ガーゼによる裏打ちが本当に必要かどうかは何とも言えません。裏打ちをすることによって、皮の強度は高くなりますし、形状の歪みも防ぐことができます。一方で、ゴム本来の弾力性、特に引張に対する柔軟性が失われてしまうため、変形に対する自由度が小さくなってしまいます。
 なお、裏打ちをしない場合は、ラテックスを更に重ね塗りしてゴムの皮膜を厚くしておく必要があると思います。
 
 

     頭部を型から抜いた状態です。後頭部(写真右側のパーツ)の耳の部分もキレイに抜けています。   

     足首のパーツの上下を貼り合わせています。接着剤はゴム系の「ボンドGクリヤー」を使用しました。接着剤を付けて貼り合わせた後、布テープで仮止めしています。
 
 

     全体のパーツ構成です。なお、胴体や脚部などにはスポンジを詰めています。また、尻尾などにはアルミの針金を入れています。
 
 

     足首から脚部にかけてもアルミの針金を通してみました。大腿部の付け根からスポンジがのぞいています。
 
 

 
   全てのパーツを接合した状態です。このモデルでは特にギミック等は入れていません。まあ、第一号ですんで検討用というところですね。
 
 

     お花畑に持って出て写真を撮ってみました。
 さて、今回撮影で使用する怪獣モデルとしては、この他に手で操作できるマペットを2体と予備のモデル1体の計4体が必要だと考えています。その他にも手だけ、足だけ、顔だけといったモデルが必要かも知れません。
 それらのモデルの製作や、ラテックスの塗装などはまた別項にて述べさせていただきます。
 
 



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