ラテックスで怪獣のマペットモデルを作る ラテックスの塗装について

 どうにかこうにか、撮影用の怪獣モデルを作るところまでこぎつけました。手踊り人形を作る過程と、ラテックスモデルの塗装に関する試行錯誤の状況であります。

     さて、マペットといっても今回のものはそれほど複雑なギミックを組み込む予定はありませんでした。ただ、さすがに口を開くぐらいのことは必要だ…ということで、そのための内骨格を作ることにしました。
 まずは、柔らかい油粘土(ホームセンターに売っている図工用のもの)を頭の雌型に押しつけて、おおざっぱな顔を作ります。この粘土型を口のところで分割して上あご、下あごの原型としました。 
 

     次に、上あご、下あごの雌型を石膏で作ります。
 
 

     そして、石膏型からFRPで上あごと下あごを作りました。   

     この「あご」を怪獣の頭部に接着しました。あとは、口のところから切れ目を入れてやれば、口を開くギミックの完成です。ただ、この段階ではまだ「歯」がありません。
 怪獣モデルで「歯」はけっこう重要なアクセントで、私がガレージキットを作るときにはできるだけ歯をプラ棒やエポキシパテで作り直すことにしています。
 単品物ならば、がんばって一本一本歯を作って埋めていくのですが、今回は頭だけでも3つはあるので、なんとか簡単に歯を作ることができないかと、プラキャストとかを使って試行錯誤してみたのですが、まだ良い方法を見いだしていません。結局は、一本一本作るという作業になってしまいそうです。
 なお、粘土原型の状態では、怪獣の頭には角が生えていましたが、どうも違和感があるのでオミットしてしまいました。 
 

 
   今回映画の撮影に使おうと思ったモデルは全部で4種類です。まずは上半身と下半身だけのマペットモデルです。
 なお、接合部のギャップは「セメダイン・カベシール」というシリコン系のシール剤をパテの代わりにして埋めてみました。 
 

 
   次に、背中から手を入れて操作するモデルです。   

     別項で示した全体モデルは、内部に芯となるアルミ線を入れていたので、自重を支えることができましたが、マペットモデルは内部が中空になっています。このため、普通に置いておくと自重で変形してしまいます。そこで、通常はこのようにぶら下げておくことにしました。   

     三番目は頭・手・足だけの部分モデルです。もっとも、このモデルが実際の撮影で必要になるかどうかは判りません。
 この部分モデルでは、ガーゼの裏打ちを行いませんでした。ちゃんと抜くことはできましたが、やはりエッジ部分は型から抜くときに変形してしまいました。個人的には、ガーゼの裏打ちはやっておいた方がよさそうです。
 なお、四番目は、特にギミックを入れない全身モデルです。 
 

     脚部には、このような芯を入れました。樹脂製のアングルを骨の代わりにして、各関節をリベット止めしています。その骨組みにスポンジを貼り付けて、さらにその上から皮膚となるラテックスをかぶせます。   

     次に塗装です。私は模型用のラッカー系塗料(グンゼ産業のMr.カラー)を使用しました。ただ、普通に塗ってしまうとモデルを動かしたときに塗装面の皮膜がひび割れてしまいます。
 以前、Nifty Serveの自主制作映画フォーラムの特撮模型会議室でこの件についてアドバイスをいただいたことがありました。それによると、塗料にゴム系の接着剤を混ぜて塗ると良いのだそうです。私としては塗料に接着剤を混ぜるというのにはずいぶん抵抗がありました。(その会議室では、接着剤を混ぜた塗料をピースコンで吹くという話しまであったような記憶がありますが、私にはとてもそんなことはできませんでした)
 今回、半信半疑で「ボンドGクリヤー」をMr.カラー薄め液で溶いてみたのですが、ボンドは分離・固化してしまって、どうもうまくいかない感じでした。
 実際に塗装するにあたって、まあ、ダメモトというところで塗料皿にボンドを注ぎ、その上から更に塗料を入れて、筆で混ぜながら塗っていくという手法を試してみました。その結果、なんとかうまく塗装することができました。 
 

     怪獣の色については、この時点でも迷っていました。私が考えていたのは二つ。ひとつは濃い茶色を基調にしたバラゴンやツインテールみたいな色。いかにも地底怪獣っぽいのですが、今回の作品の舞台は全編工事現場なので、背景の色に埋没してしまうのではないかという危惧がありました。そこで、背景に対してはえる色として、ダークグレイを基調にした、初代ゴジラっぽいものも良いのではないかと思っていました。
 これを、原型製作者に相談したところ、「ダークグレイがいい」とのこと。そんなわけで、まずはダークグレイを基調にして塗装することにしました。 
 

     これは、基本色を塗りおえて、上からドライブラシでハイライトを入れているところです。ちなみに、この塗装は原型製作者のH.T氏が自ら行っています。   

 
   とりあえずの完成型です。眼は、黒一色のつぶらな瞳にしてみました。   

 

   さて、この塗装を終えてから、私としてはどうもイメージが違うなあという感じが否めませんでした。そこで、もう一体茶色系の塗装も行うことにしました。その結果がこれです。(ちょっと意識して明るい茶色をベースにしましたが、もう少し暗くてもよかったのではないかと思います。私の中のイメージとしては、模型展示室にあるバラゴンの色調に近い感じです)
 眼は、最初は黒一色にしてみましたが、あまりにも表情がユーモラスになりすぎたため、白目を入れてみました。これでもけっこうユーモラスで憎めない表情になっています。今回の怪獣、物語のなかではけっこう憎めない奴なので、こんな感じでいいのかなあとか思ったりします。
 怪獣のガレージキットを塗装する際は、眼に光を持たせるため、眼の塗装を行った後にエナメル塗料のクリヤーを重ね塗りしています。今回のモデルでもその作業を行いました。 
 

     二つのモデルを並べてみました。どちらが実際の撮影で使われるかは、今後原型製作者と相談して決めることになります。
 なお、ラテックスの表面に光沢を持たせるコーティング液のようなものがあり、それを用いればラテックスの劣化を遅らせることもできるそうです。東急ハンズで見かけたのですが、ずいぶん高かったので、今回は使用しませんでした。 
 


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