海底軍艦 轟天

 往年の東宝特撮メカのデザインは武骨で味のあるものが多くて実に魅力的です。とりわけ、海底軍艦「轟天」。デザインは巨匠・小松崎茂画伯であります。湖底から浮上し、そのまま空を飛ぶ姿は、バックに流れる伊福部さんのテーマもあって、実にカッコイイ。はっきり言って荒唐無稽の極致なんですが、有無を言わさぬ演出で観客を無理矢理ねじふせてくれます。

 轟天のキットはいくつか販売されていました。私が記憶しているのは、オータキのインジェクションキット(映画公開当時に発売されて、その後20年ぐらい前に再販されました。ただし、これは初期デザインを元にしており、映画版とは細部が異なっていたはずです) そして、海洋堂のバキュームフォームキット、ゼネラルプロダクツからは小スケールのホワイトメタル製キットも発売されていました。イノウエアーツからは例によって、かなり大型のキットがリリースされています。このうち、海洋堂のバキュームフォームキットは定番商品だったようなのですが、その後、ソフビキットが隆盛になった頃にソフビ製キットが再発売されました。それが今回紹介するこのキットです。

 原型制作は金谷純一&KAIYODO造形狂の会。価格は2000円程度だったように思います。購入したのは10年ぐらい前だったような記憶がありますが、定かではありません。

 正直言って、ソフビ素材はメカの再現にはあまり向いていないと思います。(今、海洋堂のメガソフビ「コンバトラーV」を製作中なのですが、やはり各パーツの合いやエッジで泣かされています) 轟天の場合は、丸っこいデザインなので、かろうじて救われているという感じでしょうか。主砲の砲身、アンテナなどはさすがに真鍮パイプや真鍮線などで作り替えています。いくつかある翼はキットのものをそのまま使っていますが、パーツが薄いため、やはり反りなどが出てしまっています。
 これを作った当時はまだピースコンを持っていなかったので、ドライブラシで表現しています。


 東宝メカには非常に愛着がありまして、別項でもふれたメーサー車はもちろん、最近DVDが発売された「地球防衛軍」に登場するα号にマーカライトファープなどは、是非模型を作ってみたいと思っています。(α号は、やはり海洋堂からバキュームキットが発売されていたのですが、買い逃してしまいました)

 特に、α号は轟天と同じ小松崎画伯のデザインでありまして、そのシンプルな外観がカッコイイ。

 以前、私の地元である鳥取県境港市で「ゴジラ博」なる催しが開催されたことがあります。東宝の全面協力のもとに、撮影用スーツ、小道具、かのデクノボウ サイボットゴジラ、そして台本やデザイン画、絵コンテなどの資料が展示されていました。私のホームページのトップにあるミッチェルカメラと円谷英二監督の肖像も、その「ゴジラ博」で撮影したものです。(何と、この種のイベントとしては豪気なことに、フラッシュさえ使用しなければ撮影可だったのですね)

 これが、かのサイボットゴジラでありますが…もしかしたら、84年当時のものではなく、最近になって作られた展示用のものかもしれません。ゴジラの他にもメカキングギドラやベビーゴジラなどが見られます。この他にも、ガルーダやスーパーX2、「ゴジラ対キングギドラ」に出てきた原潜のプロップなどが展示されていました。



 そのイベントで、小松崎画伯直筆のα号やマーカライトファープ、そしてミステリアンドームのデザイン画を実見する機会を得ることができました。

 写真では、館内照明のため全体的に黄みがかってしまっていますが、実際に見たデザイン画は彩色が実に鮮やかで、印刷物などで見るのとはまた違った迫力に満ちており、しばし足を留めて見入ってしまったのを憶えています。


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