「おたく」の特性のひとつに、物が捨てられないということがあげられるのではないかと思ったりします。普通なら読み捨てられてしまうような雑誌、飽きたら見向きもされなくなってしまうオモチャ…私の場合、そういったものがなかなか捨てられず、結局段ボールの中に押し込んで納屋にしまってしまうという感じです。よほどのことがない限り、その段ボールは二度と開かれることはないのですが…
しかし、そういったものが10年、20年と発酵していきますと、なかなか食べ頃になってくるわけでして…たまに、納屋の奥にある段ボールを開いたりしますと、とんでもないものが発掘されたしします。
この「とびだすえほん」もそのひとつ。我ながらよく、この状態で残っていたものだと思います。…というわけで、私の「特撮関係書誌」はいきなり色物に流れてしまいますが、その「とびだすえほん」をご紹介してみたいと思います。
当時の売価は600円。昭和46年といえば、アイスキャンデーは1本10円で買えたわけですから、600円とはずいぶん高価だったのではないかと思います。私もよく買ってもらえたものです。
とびだすえほんは、テレビとか小学館の学習雑誌とかでけっこう宣伝されていたような記憶がありますが、私が持っていたのはこの「帰ってきたウルトラマン」と「魔法使いサリー」の2冊だけでした。やはりなかなか買って貰えるものではなかったのではないかと思います。
表紙絵は伊藤展安氏の名前があります。この本、内容は全11ページ(表紙・裏表紙含む)、伊藤氏を含め、全部で3名の絵師の方が書いていらっしゃいます。
以下、各ページをご紹介いたしますと…
「港の決戦」 渡辺正美 画
表紙を開くと、タンカーを襲うツインテールにキックをあびせ、グドンの首を締め上げるウルトラマンの大パノラマが展開されます。ちなみに、ツインテールの口は開閉できるようになっています。やはり、このダイナミズムと動かせる楽しさがとびだすえほんの魅力でしょう。
「三つどもえの戦い」 渡辺正美 画
「大ピンチ ウルトラマン」 伊藤展安 画
「負けるな マット、ウルトラマン」 伊藤展安 画
「とびだすえほん」の楽しさは、とにかく動かして遊ぶことができる点でした。たとえば、最終ページの「負けるな マット、ウルトラマン」では、モグネズンの背中付近にある岩の絵を左右に動かすとそれに合わせてモグネズンの首が上下に振れたり、マットアロー2号機が前後に動かせたりするなどのギミックが付いています。これが子供にとってはまた楽しいものでした。ただ、他の「とびだすえほん」シリーズにくらべて、この本はギミックがあまり多くなかったように思います。
当時は、そのことでずいぶん不満に感じたように記憶しています。
いきなり色物になってしまいましたが、次回の更新も色物系で攻める予定です。