暫定版 円谷英二監督生誕100周年記念関連出版リスト

 今年2001年は円谷英二監督の生誕100周年ということで、関連の書籍の出版、復刊などが相次ぎました。今更という感じもしますが、いちおう資料ということで私が入手した範囲でまとめておきたいと思います。
 未読のものが多いのですが、おいおいと内容に関するコメントも追加していきたいと思いますので、とりあえずはご容赦ください。

鈴木和幸、ものがたり・円谷英二、歴史春秋社、2001年12月27日発行


 子ども向けの絵物語にまとめられた円谷英二伝。
 なにより、暖かみのある美しい挿絵が眼をひきますが、これは吉田利昭氏という方の手によるものです。
 本文の方は、もちろん子ども向けなのですが、円谷氏の特に幼年期〜青年期にかけての評伝を積極的にまとめていらっしゃる著者らしく、円谷氏が映画人になるまでのエピソードなども多く取り入れられています。
 著者の鈴木氏はあとがきで、子ども向けの伝記という形で円谷氏の生き方、とりわけ夢にかける情熱やねばり強さ、観客や子どもたちに対する愛情といったことを伝えたいと述べておられます。鈴木氏のご活動は、円谷英二という人物を次の世代に受け継いでいく、実に正攻法の取り組みとして頭の下がる思いです。
 本書の詳細はこちらのページでもご覧いただけます。

 本当は、我々のような「オタク」と呼ばれる者がこういった活動をやっていかなければならないのですよねえ…
 なお、子ども向けに描かれた円谷英二氏の物語としては、小学館のマンガによる伝記シリーズが数年前に出ています。(いつか買おうと思いつつ、まだ未入手なんですが…)

うしおそうじ、夢は大空を駆けめぐる 〜恩師・円谷英二伝〜、角川書店、平成13年11月30日 初版発行


 元ピープロ社長の著者による円谷氏の評伝。主に戦前の円谷氏の軌跡を描いています。どうも話題があちこちに飛んでしまったり、時系列が交錯したり、文章が簡明でなかったりといった点が目に付いてしまいました。また、幼年期から青年期を描いた前半部分はむしろ「特撮の神様と呼ばれた男」の方が詳しいように思えます。「ハワイ・マレー沖海戦」に関しては、ほとんどが山本嘉次郎監督の著書からの引用となってしまっています。(もっとも、引用元の書籍が昭和40年刊行のものだそうですから、その再録という意味では貴重かもしれません)
 とはいえ、後半部分、うしお氏が東宝に入社した前後からはうしお氏個人の体験に基づく話しがでてきて、なかなか興味深い(円谷氏そっちのけで、うしお氏の個人体験が主体で語られる部分もあるんですが、それはそれで面白いから許せるんですね)
 個人的には本書で語られなかった戦後編の方が面白いエピソードがあるのではないかと思えるのですが…
 表紙の肖像画が大橋巨泉氏に見えてしまったのは私だけ?

鈴木和幸、特撮の神様と呼ばれた男、アートン、2001.6.30  初版

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 円谷氏の生まれ故郷である福島県須賀川市在住の作者による評伝。円谷氏の全盛期はもちろん、幼年期〜青年期も比較的ページを割いていて興味深く読みました。なお、作者には「飛びつづける紙飛行機 特技監督 円谷英二伝(1994年)」の著書もあります。

2001円谷英二生誕100年記念プロジェクト監修、素晴らしき円谷英二の世界 君はウルトラマン、ゴジラにどこで会ったか、中経出版、2001.07.09  初版、2001.8.23  2刷 

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すいません。まだ読んでいません。

竹内博・山本眞吾 編、完全・増補版 円谷英二の映像世界、実業之日本社、2001.07.11

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 過去に発売された同名の書籍の増補改訂版。旧版との異同をチェックしなければならないのですが、まだやってません。

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ちなみにこちらは旧版の表紙です。

実相寺昭雄、わたしの円谷英二100年怪獣な日々、筑摩書房(文庫)、2001.07.10

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 実相寺氏がいろいろな媒体に発表してこられたエッセイ、シナリオ等を収録したもの。円谷英二氏に関連したものとしては、上述の「円谷英二の映像世界」にも収録されている『夢の王国断章−円谷英二讃仰』の再録や、実相寺氏が監督したドキュメンタリー「ウルトラQのおやじ」、脚本を担当したNHKおしゃべり人物伝(懐かし〜)の「アイ・ラブ円谷英二」の準備稿、テレビユー福岡の番組「円谷英二・大空を愛したウルトラマン」の準備稿などがあります。
 その他には、成田亨さんのアートワークスのページでも引用しましたが、ウルトラマン創生期の円谷プロの状況を綴ったエッセイなどもいくつか収録されています。
 また、実相寺が携わった特撮映画「ウルトラQ・星の伝説」や「帝都物語」などに関するエッセイもあります。

 一冊の本として見たときに、「円谷英二監督生誕100年」という軸の存在を感じるかといえば、ちょっとどうかと思うのですが、実相寺昭雄というカリスマ(?)監督の軌跡をたどる上では貴重な出版かもしれません。

KAWADE夢ムック 文藝別冊円谷英二生誕100年記念、河出書房新社、2001.08.30

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 土屋嘉男氏のエッセイと有川貞昌氏のインタビュー以外には特にみるべき所はありません。有川氏のインタビューでは、1作目のゴジラで鉄塔が融けるシーンに飴を使ったという伝説(?)に疑問が呈されていたりするなど興味深い点も多くあります。

竹内博 編、写真集 特技監督円谷英二増補改訂版、朝日ソノラマ、2001.06.30

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 1993年に刊行された写真集の改訂版。これも旧版との異同については調査中です。

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 こちらは旧版

円谷英二特撮世界、ケイブンシャ、2001.08.10

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 作品紹介、宝田明氏のインタビュー、佐原健二氏、水野久美氏の対談など

円谷一 編著、円谷英二日本映画界に残した遺産小学館、2001.07.07初版、2001.09.202刷

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 1973年に刊行された写真集の復刻版。古書価はずいぶんと高かったそうですから、特撮ファンにとっては待望の復刊だったといえるでしょう。私も復刊を知ってすぐに注文を出したのですが、一刷には間に合わず、9月の二刷をようやく入手しました。きくところでは、初版当時この写真集はずいぶんと誤記があるという話しがあったそうです。この復刻版では、年表や正誤表を含む小冊子が付属しています。

フィギュア王 No.45 円谷英二特撮人生のすべて、ワールドフォトプレス、2001.07.30

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 雑誌。実相寺氏と河崎実氏の対談などがありますが、内容的には特筆すべきものはありません。

THEコレクションvol.2 生誕100年記念 円谷英二「特撮の神様」が魂をあたえたヒーローたち、ケイブンシャ、2001.08.28

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 円谷氏関係の怪獣ソフビなどのキャラクターグッズ集。円谷英二氏個人の資料としては特筆すべきところはありません。



書影にフラッシュの反射が写ったりしているのはご愛敬ということで…

遺漏がありましたら、是非お知らせいただきたく存じます。

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